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米国のデータで,高血圧症になりやすい集団として以下のような集団をあげています.
1. 両親・兄弟に高血圧症がいる
2. アフリカ系米国人(黒人)
3. 運動不足
4. 塩分・アルコール・カロリーの摂取過剰 |
1.2.が遺伝などご自身で修正不可能なものであり,3.4.がご自身で修正可能な生活習慣にまつわるものです.でも皆さんが「・・・?」と感じるのは2.ではないでしょうか?
この「・・・?」から遺伝と高血圧症の話を広げてみたいと思います.
体内から塩分が喪失することは人間にとって一大事(とくに暑い地域では)です.そこで暑い地域(アフリカや太平洋・東南アジアなど熱帯地方)に暮らしてきた人々は塩分を体内に保つ遺伝子を持つ集団が生き残ってきました.暑い地域では塩分を体内に保つ遺伝子を持たない集団は淘汰されてきたのです.塩分を体内に保つ遺伝子を持たない集団は,寒い地域(北欧や北アジアなど高緯度地方)で生き残ることになります.
この二つの遺伝子を持つ集団が時代も場所も違う縄文弥生時代の日本と近世の米国で出会います.日本の場合は人為的なものではなく,自然発生的なものでしたが,米国の場合は移住という人為的な形で.
米国の移住というのはイメージしやすいのですが,日本の場合を簡単に(歴史の専門の方からは,おおざっぱ過ぎるとお叱りをうけそうですが・・・)説明します.数万年前,当初,日本列島に住み着くようなったのは黒潮にのってやってきた太平洋・東南アジア系の人々で縄文人と呼ばれます.その後,朝鮮半島から南下してきて日本列島に住み着く人々が現れます.北アジア系の人々で弥生人と呼ばれます.

「南」出身 縄文人 塩分を体内に保つ遺伝子を持つ人々
「北」出身 弥生人 塩分を体外に保つ遺伝子を持たない人々
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縄文人が塩分を体内に保つ遺伝子を持っていたと考えられています.当初は縄文人と弥生人の間でイサカイもあったようですが,やがて共存→混血も進んでいきます.したがって,縄文人の血(遺伝子)は弥生人によって薄められたとはいえ,日本人は塩分を体内に保つ遺伝子を持つ人が多い民族といえるでしょう.
日本の環境は縄文人の故郷である太平洋・東南アジア地域と比較すると,寒い地域となり,塩分を体内に保つ遺伝子を持つことが裏目にでます.汗はそれほどかかないし,体内に塩分をためこむ一方となり,この塩分に反応して血圧が上昇するのです.これを食塩感受性高血圧といいます.最近は夏もエアコンが快適な環境を提供してくれるので,食塩感受性高血圧は増え続けています.
「塩分を体内に保つ遺伝子を持つ熱帯の人種」「北アメリカはアフリカより寒い」「先進国→エアコン普及で快適な夏」など,米国におけるアフリカ系住民(黒人)の高血圧症も日本の縄文遺伝子を持つ人の高血圧症とほぼ同じ事情なのです.
【補足】
暑い地域で塩分を体内に保つ遺伝子を持たない集団が淘汰されてきたのと同様,塩分を体内に保つ遺伝子を持つ集団は,寒い地域では高血圧症→心臓・血管の病気のため,淘汰されたと考えられています. |
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